メルセデス・ベンツコネクション
世界初、Mercedes-Benzのブランド発信拠点(3/3)

安部基史(本誌編集長)


■近隣に加えて観光客など40万人を動員

来場は、2011年7月のオープン当初からしばらくの間は、施設周辺の六本木エリアで働いている人が多数を占めた。その後、各メディアからの情報発信やメーリングリストなどから認知度が向上、六本木に来街した人が多数寄っていくようになった。この他、メルセデス・ベンツ正規ディーラーネットワーク全国220店舗でも発表、DMでの案内等を行ったこともあり、地方からの来場も見られるようになっている。

 オープンからの累計入場者数は約40万人で、一日平均約2,000人が来店している。1階の各入口に設置した骨格・体格で来店者の性別を判定するシステムによれば、男女比は7:3で女性の方が圧倒的に多く、狙い通りだという。
 “ALL WELCOME”を実現するために、施設内のサービスはその道の第一人者を厳選して、運営をすべて委託する体制となっている。2階レストランの運営は、フランクミュラー、フェラガモ、グッチといった名だたる一流ブランドのカフェやケータリングを実施している専門組織の運営である。モデルや俳優志望という見た目も麗しく、身のこなしも優雅なウェイターを抱えていることでも有名だという。

 さて、ランチタイムはメニューがリーズナブルであること、野菜を中心にウェルネスを意識したヘルシーなメニューを揃えて、しかもサラダとデザートのバッフェが付いていることから、席はほとんど女性で埋まるそうだ。いわゆる“イケメン”揃いのスタッフの笑顔の応対も、女性に受ける大きな要因だろうなと感じてしまった。車両を展示している1階のショールームでも男女比はほぼ半々で、なかには女性同士で来店され、試乗をする人も多いという。
 ちなみに客価格はランチ1500円前後、ディーナーで3000円前後である。


■販売にも対応、住所に近い複数店舗から希望店舗を選択

 各販売店の店頭に本施設の案内リーフレットを設置する以外、販売店のスタッフ自身が実際に雰囲気を体験できるように、販売店会議や表彰式などの催しを同所で実施するなどの対応を図っている。地方の店舗で、東京に出張に行く機会のある顧客に、スタッフの体験として本施設を案内すると、実際に足を運ばれる可能性が極めて高いそうだ。
 また、ここで初めて実車を見て『欲しく』なり、商談に至った場合は、店舗への誘導を図る。お客様の居住地に最も近い販売店および近隣立地店舗も含めて複数候補を紹介、お客様が都合や希望に合わせて選択する。2012年3月時点で、販売店への紹介は100件弱となっている。クルマ以外の集客イベントの積極的な実施でGALLERYの本来的な活用(展示車をゆっくりと体験してもらう)ができにくい環境での結果として、高く評価している。
 さらに、メルセデス・ベンツ車のオーナーズクラブの総会や、特定モデルのファンのオフ会に使用されることもあるが、限られたコミュニティが要因で一般のお客様が入りにくくならないように、行き過ぎに注意している。基本は既存オーナー以外のアプローチにある。クルマに全く詳しくない人でも気軽にアクセスしてもらえる施設にしたいという思いは、施設のコンセプトでもある「all welcome」によく表れている。


■メンバー登録でリリピート促進に成功

 タブレットパソコンへの入力または申込書記入による利用者登録(メンバー加入)により、会員証としてのポイントカードが即時発行される。カードは一般的なISO/JIS規格よりも小型の独自形状である。入会により、DOWNSTAIRS COFFEEでWi-Fi利用が可能となる他、ポイント蓄積によってグッズ交換やメンバー限定イベントへの招待等の特典が用意されている。ポイント付与率は10%と好条件を用意、2階のUPSTAIRSでランチを数回利用すれば、DOWNSTAIRS COFFEEですぐにコーヒー1杯と交換できるイメージである。
 メンバーは現在約7,000人で、男女比率はほぼ半々である。30〜40代が7割を占め、コミュケーションしたい層にうまくアクセスできていると分析する。
 また、当初はメルセデスのファンが大半を占めると予想していたが、実際には既存客20%程度で、30%はそもそもクルマを持っていない人だという。残りの50%は多メーカーのクルマに乗っている人で、こうした層にアクセスできたことも、クルマを前面に出さず、「all welcome」を追求した結果と評価する。
 営業は2012年いっぱいで終了となるが、その後も六本木付近で継続できるように準備を進めている。もちろんポイントカードも、継続して利用できるような仕組みが提供されるという。 



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