■あすたむらんど徳島

事業費230億円で24haの用地に「公園」と「徳島県こども科学館」整備
県内中心に隣県からも集客、オープン後半年で50万人
「安・近・短」志向に合致、課題は「こども科学館」のリピートづくり




 2001年7月にオープンした「あすたむらんど徳島」は、“明日(あす)に多くの夢(たむ)がある場所(らんど)”を意味するネーミングである。その核施設が「徳島県子ども科学館」で、小学校4?6年生の子供を中心層に、科学をテーマとする体験型の展示を特徴としている。
 「あすたむらんど徳島」は、徳島県が約230億円の巨費を投入し、同県板野町の丘陵約24haを用地として、基本構想から10年以上をかけて建設した。運営は、県の外郭団体の(財)徳島県観光協会だが、事業の考え方は「県民への行政サービス」としての位置づけで、赤字分に関しては県の補助が決定している。
 広大な用地は、「公園」のなかに「科学館」が立地する形になっている。機能では「遊」と「学」、そこにコンセプトの「水」と「緑」と「光」を反映した施設・設備を配置している。

 オープン後、年間計画入場者数の50万人を半年で突破。約82万人の徳島県の人口からして、圧倒的な人気となっている。駐車場や入園の無料効果もあるが、有料であっても行政サービスらしく安価な設定で、こうしたコストパフォーマンス、つまり"お得感"が口コミで広がって人気に結びついたのではないかと協会では見ている。
 実際、お弁当や飲み物持参で入場して、1円も使わずに遊んで帰ることができる。もしも気が変わって「子ども科学館」に入場しても、小学生の子ども2名の4人家族なら、1,400円の出費で済む(子どもが幼児なら無料となる)。これはロードショー1回分の出費である。さらに、「子ども科学館」以外の有料施設をすべて利用しても「カレイドシアター」(800円)、「吉野川めぐり」(800円)、「プラネタリウム」(1,400円)、合計4,400円、アトラクション毎に料金をとるテーマパークなら、一人分の出費であろう。
 もちろん、公園は広々しており、そこに配置された遊具もふつうのブランコから、音の科学をベースにした変わり種まで多種多様にそろっており、これだけでも十分に楽しめる。事実、好天時に来場数が跳ね上がるのは、公園や広場などのアウトドア空間での滞在が長いことを示している。

 さて、中核施設の「子ども科学館」は、「科学技術と自然環境との調和」を共通テーマに、「宇宙と地球」、「生命と環境」、「科学技術と人間」をサブテーマとした屋内・屋外の常設展示と、企画展のようなイベント、そしてプラネタリウムで構成される。子どもが興味を持った展示を実際に触れてみて体験し、そこから知識を吸収できるように配慮したのが特徴で、説明パネルを掲げるだけ、あるいは学芸員が一方的に教えるような応対をしていない。体験により、なぜ?どうして?の疑問が生まれる。その疑問を解きほぐすのが学芸員の役割だからである。
 徳島県内はもちろん、高速道路アクセスの至近な立地から、香川県方面からの来場も多いという。また、個人のホームページをチェックすると、ここでの体験を喜ぶ声が目立っている。

 「レジャーパークの最新動向」では:オープンしたばかりといえ、高人気を保っているその理由について、現地を訪問しての検証を行っている。

※誌面の一部を紹介します



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