聴潮閣 高橋記念館(1)

泉都・別府の繁栄を今に伝える昭和4年の日本建築
現代別府の再生に必要な“古き良き時代”のエッセンスを発信
2004年10月31日



○施設概要


所在地:大分県別府市青山町9-45
電話:0977-22-0008
開館時間:AM10:00〜PM6:00(入館はPM5:30まで)
休館日:毎週水曜日(祝日の場合は翌日)
入館料:大人600円 小中学生500円(いずれも飲み物付き)
URL http://www.chohchohkaku.jp/



 「聴潮閣 高橋記念館」(ちょうちょうかく たかはしきねんかん)は、温泉都市・大分県別府市が最大のにぎわいを見せていた1929年(昭和4年)に、同市浜脇に当時の別府政財界で第一人者だった高橋欽哉氏の住居兼迎賓館として建てられた。
 海岸近くにあり、潮の音を聴くという意味から「聴潮閣」と名付けられたのである。
 大正から昭和初期にかけて、別府には公共施設や学術施設、温泉施設、全国の財界人の別荘や私邸等、保養地(今ではリゾート地というべきか)でありながら数多くの名建築が登場した。その中でも聴潮閣は、台湾ヒノキをふんだんに使った木造2階建・入母屋造りによる日本建築の粋を極めた建物として、まさに繁栄別府の象徴でもあった。


歴史と風格を感じる、聴潮閣の門

○空襲の被害を受けなかった別府

 別府市は、第二次世界大戦での空襲を免れたこともあり、戦前からの伝統的な佇まいが保全されてきた。しかし、次第に建築の老朽化、温泉地としてのポテンシャルダウン、行政の大都市志向のような要因が重なり、景観的・構造的に全国どこにでもある、"普通の都市"に変貌している。

 観光や温泉を目的に別府を訪れた経験のある方ならご理解いただけるとは思うのだが、現代の別府において、温泉地の繁栄と伝統を確認するには事前の情報収集と優秀なガイドが必要・・・つまり、駅を降りたらあるいはバスを降りたらそこに風情ある温泉宿が並んでいるような環境にはない。人口14万人の中規模都市の中に、温泉地が散在する環境にある。新幹線のホームからの景観がほとんど宿泊施設という熱海とは大きく異なる。
 つまり全体景観としての温泉町性はきわめて希薄なのである。だから、自分にお気に入りとなる温泉(宿)を、市内のあらゆる温泉地から探し出す楽しみを含めての旅になるのである。行動手段としてマイカー利用が圧倒するのもうなずけよう。


○観光客の入込は現状維持、対して近隣の湯布院は右肩上がり

 
別府市役所によれば、同市への入込観光客数は約1,200万人(平成12年)、このうち日帰りが約780万人、宿泊が約405万人といった割合である。平成7年以降、このボリュームに大きな変化はない。
 発地別では県内が25%、福岡県が24%(同年)で、県内と九州だけで約62%を占めている。そして、手段としてはマイカーが77%を占め、増加基調にある。総じて、別府観光のお客様は「県内および九州特に最大人口集積の福岡県」で成立する構造が把握できる。となれば、競合は昨今温泉地としての名声を博している近隣の湯布院、阿蘇方面にある。この統計では観光目的が分からないので想定になってしまうが、こと温浴ブームが続く限り、別府は高速道路によって利便な県内・福岡からの集客を、他の有力温泉地と競う構造が続くことになる。
 では地理的に最大の競合との位置づけが可能となる湯布院町の観光客動向を見ると、約300万人(平成10年)で、宿泊客が約89万人だが、1970年以降この数字はずっと右肩上がりとなっている。現状維持の別府、伸び盛りの湯布院という差異がわかる。

 黒川温泉がブレイクした阿蘇地域12町村の総観光客数は約1,586万人(平成13年)で、こちらも1980年代以降ずっと伸長傾向にある(http://www.pref.kumamoto.jp/statistics/kaiseki/
H14kurashi/09_1kanko_5.htm)。
熊本日々新聞の報道によれば、首都圏と近畿圏の女性を対象に実施した「九州の観光地アンケート」で、「阿蘇」の認知度は約80%、中でも黒川温泉(南小国町)は九州・山口の「行ってみてよかった観光地」ランキング(リクルート九州支社)で6年連続一位だという。


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