北九州学術研究都市〔福岡県・北九州市〕(2)
カー・エレクトロニクスセンター設立を目指す〜


北九州学術研究都市整備事業

 学術研究都市の開発は、若松地区西部と八幡西区北西部にまたがった、総面積約335haのエリアで行われた。基本方針では、周辺の自然環境や都市環境を生かしながら、先端技術に関する教育・研究機関の集積と、良好な住宅地の供給を同時に行う『複合的な街づくり』を目指すとしている。
 第一期事業は平成7年から18年まで行われ、すでに完了している。事業主体は都市再生機構(旧住宅都市整備公団)で、約121haが整備された。
 第二期は北九州市が事業主体となり、約136haの開発が平成14年から進められている。事業完了は平成26年の予定である。
 第三期の約68haの開発事業については検討中である。またその他に河川事業として約10haが整備される。
 これらの開発整備事業により、住宅は4,000戸、12,000人(夜間人口)が住む街が創出される計画である。

北九州新大学構想

 北九州市立大学・大学院、国立大学法人九州工業大学大学院、早稲田大学大学院、福岡大学大学院と、研究機関及び企業が進出し、ハイレベルな教育研究環境の形成と、未来を担う人材の育成を目指して、施設の共同利用など、連携を深めながら教育研究を行う産学連携・共同研究拠点とする構想である。
 昭和63年(1988年)12月、北九州市から「北九州ルネッサンス構想」が策定された。
 北九州市のHPによると、基調テーマとして「水辺と緑とふれあいの”国際テクノロジー都市”へ−−『水辺と緑』は北九州市の豊かな自然環境を、『ふれあい』はぬくもりのあるふれあいと活発な交流を、『国際テクノロジー都市』は、高度な技術に裏付けされた産業都市としての北九州市の発展方向を示しています。北九州市は、快適で質の高い生活環境のもとで、国際経済社会の発展を担う創造的な産業都市への再生を目指します。」とある。
 このルネッサンス構想にあわせて、平成に入ってから具体的な構想が発表され、平成5年には慶應義塾大学の石川塾長が座長となって新大学構想策定委員会が発足した。翌年には「北九州新大学構想」が策定され、研究開発志向の大学、アジア志向などの方向性が示された。
 「新大学構想」とは、産業の「知」をどのように作っていくか、を考えていくときに、北九州市だけで総合的な大学を持つのでなく、特徴的な大学と、それを“世話する”機関を作って進めていこう、という構想である。
 他の大学は大学院が進出している中で、唯一学部があるのは北九州工業大学である。この大学は小倉にあり、元は文系の学部のみの大学だったが、学術研究都市への進出に合わせて国際環境工学部および大学院国際環境工学研究科を新設した。

 企業の誘致は現在も進められており、広く活動を続けているという。大学誘致により研究者が集積したことで、産学連携をしたいと考えている企業の研究の場の受け皿となることを目的としている。なんといってもここのウリとなるのは、まず新規事業を手がけたい企業にとって、相談できる教授および研究者が揃っていること。そして共同利用できる研究施設と優秀な人材が確保できることが、誘致する企業に提供できる大きなメリットだという。
 現在も産学連携施設の建設が進んでおり、4棟が完成、5棟目を建設中である。
 入居企業は大企業のみならず、中小企業も対象としている。メインの分野は「環境」と「情報」としており、主にそのエコ関連と半導体関連の企業が集まっている。
 毎年秋にイベント「産学連携フェア」を実施、入居企業を中心に、外部からもセミナーの参加企業などの研究成果や活動の発表の場となっている。

(FAISパンフレットより)

「ひびきの」のまちづくり

 このあたりの住所は「若松区ひびきの」である。「ひびきの」という名称は響灘(ひびきなだ)から来ている名である。音感の良さから「ひびきホール」など、フレーズは様々なところで使われているという。
 学術研究都市のハシリであるつくば研究学園都市のような、研究員等研究所で働く人たちのための住宅や施設を整備することで街の賑わいを作っていく、という考えは希薄で、どちらかというと周辺の一般住民をターゲットとした宅地・住宅開発となっている。
 学術研究都市内には、職員用住宅や、早稲田大学大学院は海外からの留学生が6割近くを占めていることから、留学生向けの寮などが設置されている。学生向けや関係者の住宅の整備はすでに終了しており、 今後新規に用意する計画はないという。
 ひびきの地区と呼ばれるが、地元の人にとってはJR折尾駅の近く、というイメージが強いという。折尾は産業医科大学、九州共立大学、九州女子大学・短大といった学校が集積している文教地区である。学生の街として認識されており、また市街地から離れた“辺鄙な場所”という認識を持たれていることは否めないという。実際、現時点では交通の便もあまりよいとはいえない状況である。
 ここに通ってくる人たちの足はおおよそマイカー、自転車、バイクが6割、市バスが4割くらいとなっている。学生はバイク、原付自転車、自転車で通学してくる率が高いため、その割合になるという。山を切り開いて整備されているので、アップダウンがあり、体力に自信がないと自転車通勤はキツいようだ。
 学術研究都市の中はバリアフリーに対応したデザインとなっていて、パブリックエリアは当然ながらガイドラインに準拠している。また、建物内ももちろん車いすなどがスムーズに通れる設計となっているという。そのほか、トイレは人工肛門を付けている方に配慮した設備もある。
 学術情報センターは学術情報を集積し、ライブラリーとして保存・保管して公開する場として機能している。センター内に図書館もあり、まだ数は少ないと言うが、専門書が揃えられている。また、周辺住民のためにも一部開放しており、一般図書は母と子のための書籍が揃えられている。

○管理はICカードで

 各大学の管理はそれぞれの大学で行っているが、産学連携センターや図書館、会議場など共通利用施設はIDカードで管理されている。入居している企業の社員にカードを配布、鍵としての利用やゲートの通過、図書館の貸し出しなどに利用されている。また、九州工業大学では学生証としても利用されており、大学側でデータ入力機を用意して学籍情報などのデータをカードに持たせている。つまり、カードのインフラはFAISで用意し、それを各大学・企業が利用している。
 ICカードはタイプA?(ダッシュ)と呼ばれる、タイプAを改良したオリジナルの仕様を採用している。現在の主流となっているFeliCaではなく、タイプAを採用した理由は、学術研究都市を開学した平成13年当時の時点ではそのシステムがベストだと判断されたから、と説明する。今後は携帯電話への搭載など、新しい機能の付加を視野に入れる必要が出てきたら、仕様の変更を検討する可能性はあるとのことだ。




 | HOME | Report | Book | About Us | New |

 © Fantastics Inc. All Rights Reserved 
このページに掲載の記事・写真の無断転用を禁止します。

お問い合わせ