■産業遺構の活用を提唱する「グループ炭坑夫」

炭鉱遺跡や昔ながらの街並みを活かした
「この土地、この時期のみ見られる」観光資源づくりを、
旧炭鉱の町・北海道夕張市から発信する市民団体



 新しい町づくり、町おこしのかけ声の下、残されていた炭鉱遺産は次々とスクラップされ、その後には“周辺景観とは全く馴染まない”テーマパークが出現する。
 もちろん、民間企業が、旧産炭地のような衰退商圏、それに冬季の営業が限られる場所に娯楽施設を単独で建てようもなく、運営のほとんどが第三セクター、その赤字は補助金(つまり税金)によって補填される構造となっていた。その顛末は、芦別市の「カナディアンワールド」破綻で明らかなように、事業としてはどこも不調に終わっている。

 北海道は、本州以西及び海外からの入り込みで観光産業が成立している。道内の生活者を対象とするレジャー系テーマパークが厳しい経営を余儀なくされるのは、本書の「グリュック王国」(帯広市)でもレポートしているとおりである。観光客にとって、北海道は北海道でなければならない。つまり、北海道ならではの、北海道だけの体験を求める。一方、地元の感覚だとこれがわからない。自分の周囲にある、当たり前のものに魅力があると思えない。だから、遊園地を作る。フィッシャーマンズワーフでもお土産センターでもカニづくし。そんな全国どこにでもあるような空間など、誰も感性の扉を開いてくれないのだ。

 夕張・清水沢の静かな森の中にある「風間健介写真館」は、気さくで飾り気のない風間氏を慕って、シーズンになるとたくさんのライダーが海を越えてやってくる。彼らとのコミュニケーションのなかで、年々自分が追い求めていた炭鉱遺産への関心が高まっており、その分、どこでもある集客施設にはほとんど興味を示さなくなっている事実を確信するようになる。一方で、遺構に惹かれて住み着いた夕張の原風景、ライダーや旅行者に鑑賞の楽しみを提供する遺構は、「町の活性化」のもと、徐々に失われていた。
 そこで風間氏は、価値観を共有する有志とともに、「グループ炭坑夫」を結成。炭鉱遺産の活用こそが旧産炭地の活性化につながるとの提案活動をスタートさせた。

 「レジャーパークの最新動向」では:産業遺構の保存活用を、地域文化の再生運動とした風間氏とそのグループの活動を、ドキュメントとしてまとめている。


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