赤れんが博物館 レポート(1)

2004年10月2日

○施設概要

所在地:〒625-0036 
京都府舞鶴市浜2011番地 

TEL:0773-66-1095 
FAX:0773-64-5123


開館時間:AM9:00〜PM5:00
休館日:年末年始(12月29日〜1月3日)
入館料:一般300円 学生150円

 京都府の日本海側、若狭湾に面する舞鶴市は、「天橋立」とも近く、若狭地方最大の都市である。中高年齢層以上にとっては、舞鶴といえば軍港であり、戦後の引き揚げが真っ先に想起されるだろう。リアス式海岸地形によって半島に隠されたような舞鶴湾は、なるほど海戦時代は、船がその存在を隠して敵の侵攻にいち早く対応するのにベストな地勢だったことが容易に想像できる。旧日本海軍の要衝は、現代も海上自衛隊や海上保安学校など防衛機能が集積しており、その位置づけに変わりはない。また、市内のバス停に立っていると、行き交う防衛庁関連の公用車が多いことに驚く。制服を身につけた海上自衛隊のセイラーマンが当たり前の風景なのである。

 もちろん、「軍港」ではない現在の舞鶴港は一大漁港であり、北海道・小樽に向けてのフェリーを利用する大型貨物トラックが集結する物流拠点として賑わっている。魚が目当てなら「道の駅・舞鶴港とれとれセンター」がある。海上自衛隊の艦船を見たいなら、舞鶴港遊覧船を利用すればよい。また、湾奥にそびえる五老岳の「五老スカイタワー」から複雑な湾形を俯瞰してもいいだろう。
 もうひとつ、舞鶴市の地勢的な特徴として、西地区と東地区にはっきりと集積が分かれていることがある。歴史的に西舞鶴地区は戦国末期から細川・京極・牧野氏の城下町として発展してきた。一方、東舞鶴地区は明治時代に軍港として開発された、いわば再開発都市としての経緯がある。通りの名称には、日ロ戦争前の連合艦隊の軍艦名、「富士」「大門」「敷島」「三笠」等が引用されており、現在も防衛関連施設が集中するなど、この日本では限られた景観を確認できる。

 この舞鶴市を代表とする地域資源が、赤レンガの建造物であり、そのレンガを学術的・建築素材的そして文化的に解釈しながら舞鶴市域の個性を伝えようとしているのが「舞鶴市立赤れんが博物館」である。もちろん同館そのものが旧舞鶴海軍兵器廠魚形水雷庫として明治36年に建設された赤レンガ製の倉庫である。鉄骨構造のレンガ構築物としては最古のもので、同市の指定文化財にも指定されている。

赤れんが博物館の外観

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