シリーズ第1回
埼玉トヨペット(株)「はあとねっと輪っふる」

“すべての人が住みなれた地域で共に学び・共に働き・共に暮らすために”をモットーに、障がい者、健常者、高齢者そして赤ちゃんまでが一緒になって活動をする場
2008年6月30日
レポート:安部基史


 今回よりシリーズで、「社会にやさしい活動、温かな空間づくり」に取り組む企業や団体、個人を紹介してまいります。
 その第1回は、埼玉トヨペット株式会社の社会貢献事業「はあとねっと輪っふる」です。

 同社は埼玉県の全域をカバーするトヨタ自動車の大手販売会社で、もちろんビジネスは新車の販売が基本です。その中で、やさしい社会づくりに関連するものとしては、福祉車両(トヨタ自動車では「ウェルキャブ」と呼んでいます)の販売が中心でした。これは本業のバリエーションに他なりません。しかし同社では、2002年からは、ウェルキャブを展示販売するショウルーム機能を自ら再構築、「すべての人が住みなれた地域で共に学び・共に働き・共に暮らすために活動する場を提供・支援する」コミュニケーション支援拠点に転換して、「はあとねっと輪っふる」のネーミングを与えました。

 こうしてウェルキャブを販売するだけの小売機能から脱却。ウェルキャブにある各種サポート機能を必要とするような、障がいやハンデを持った人はもちろん、子ども、高齢者、子育て中の人など、多様な人々がコミュニケーションできる空間としてリニューアルオープンしました。すべての人間が共に地域で普通に生きていける社会づくりである「ノーマライゼーション」(normalization)が、「はあとねっと輪っふる」の活動理念となったわけです。

 「はあとねっと輪っふる」の主な活動として、埼玉県内の子育てや高齢者活動に関するNPO等への活動スペースの提供、本レポートに取り上げている農業体験、パンの販売、アートギャラリー、就労支援などがあります。ここに福祉車両の無料モニターサービスを組み込んでおり、“問い合わせがあるまでは決して販売の話はしない”徹底が、同活動への信頼と、福祉車両の販売堅調化につながっています。

 試行錯誤ながら手を抜かず続けてきた6年間の活動が評価され、地元・埼玉県からは平成18年の『第3回彩の国にやさしいまちづくり賞活動部門』の優秀賞を、平成19年には、内閣府が主導するバリアフリー・ユニバーサルデザイン推進についての『第6回バリアフリー化推進功労者』として内閣府特命担当大臣表彰を受けました。

 販売台数が正義、トップセールスマンだけが評価される・・・そんな体質が色濃い新車販売業界にあって、これだけ本格的に企業市民としての責任を発揮している販売会社を探すのは恐らく難しいでしょう。本レポートでは、自動車販売のプロ中のプロである店長が、ある日、まったく馴染みも経験もない社会貢献活動を任されて、戸惑いと失敗を重ねながらも、やがて自動車販売で培ったノウハウも活用しながらその意義と面白さを理解して、次の世代にバトンタッチするまでのドキュメントにフォーカスしながら、「はあとねっと輪っふる」のやさしい活動と温かな空間をご紹介します。

pdfファイル:全9ページ



「農業体験」として、田植えの体験機会を提供


「はあとねっと輪っふる」のオフィス(本社1階)



※次回は、誰でも車いす体験ができる「あらかわ福祉体験広場」(国土交通省荒川下流河川事務所)


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