4.施設構成 こうして出現した「ワープステーション江戸」は、江戸の街並みを映画撮影で質感が保証できる高度な水準で再現し、実際に出資者であるNHKの常設セットとして利用される。2000年の大河ドラマ「徳川葵三代」や「柳橋慕情」という時代物ドラマをここで撮影しており、エントランスにはポスター類が貼っていた。さらに制作発表も当園内で行われたという。NHKはこの他にも、イベントに使ったり、関東版の番組内で紹介する等、積極的にサポートしている。どうやら現会長が茨城県出身という政治的背景もあるようだ。ちなみに映画セットで江戸の町並みを再現するのはかなり大変らしく、屋外にあって気軽に使える機能は貴重なのである。 なお、ロケ中でも施設はオープンしており、撮影本番時は入場客の行動を制限するだけである。撮影時と重なれば、かえって集客力が高まるとメリットも見込む。今のところ利用はNHKのみだが、今後は民放にも利用を拡げていきたいと考えている。なお、撮影利用は有料で貸し出すが、集客が見込めると判断すれば、その金額は要相談だそうである。 再現された江戸の町の各所にあって、マルチメディア技術を駆使した江戸文化の体験機会となるのが「展示館」で、出資各社の競作によって建設された。展示館のテーマは担当企業が企画しており、多様な江戸文化表現が見られる。 なお、ワープステーション江戸の周囲の景観だが、時代劇が大丈夫というように、現代的な景観が見えない森林風景である。白壁に囲まれた、中世の都市がワープしてきたというイメージが湧く。 以下は展示館の内容構成である。
※イベント内容により有料 「ワープステーション江戸案内資料」から転載 園内レイアウト |
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5.事業スキーム 入場料は大人1,400円で、有料の展示館に入館するには別途入館料を徴収している。単館券が300円、5館共通で1,000円である。 入場料に有料券を必要とするシステムに関しては、当初は一括で取ることを予定していた。しかし、合計で2,600円を一括徴収するのは不況期は特に割高感があると判断、1,500円以下にとどめることにした。 有料展示館の入場者は全体の約40%となっている。家族で入園し、子供だけが有料展示館に入館する例も多いそうで、金額に敏感な現状を反映した傾向となっている。 展示入館券は1年間有効で、混雑で入場を諦めた場合でも、次回の入場時に利用できる。また、駐車料金は500円で、その際に1年間有効のカードを発行する。これもリピーター獲得の一環である。1,000台入って50〜100台はリピーターだという。地元住民の利用が多いそうだ。 |
1年間有効の駐車券 |
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事業試算では、入場者数が年間40万人から45万人でペイできる、という。これは月4万人、1日1,000人の計算だ。しかし、簡単ではない。施設の周囲には他に集客施設がなく、他の施設に行った帰りなどについでに寄ってみる、という周遊行動が期待できないのである。この施設だけを目的に足を運んでもらい、満足してもらわなければならない。3〜4時間滞留でどのくらい楽しんでもらえるかが勝負と意気込む。 商圏は取手を中心に30キロ圏、500万人と見込む。茨城県に立地するのだが、ターゲットとなる生活者の75%は千葉・埼玉・そして東京と他県が占めている。このため、茨城県が発行している冊子や地方紙でPRしても、当然他県の75%には認知されない。まずはこの施設の認知形成がないと、入園者の増加は見込めない。そこで、新聞の折り込み広告の配布地域を県外にも拡げたり、新聞広告も東京新聞、読売新聞の千葉版などに出稿したりと策を講じている。 効が奏したのか、GW連休中に来園者にアンケートを行ったときには、県外が25%程度だったが、夏からは40%に上がってきたという。 また、平日の集客強化のために、学校行事、遠足、各種団体の研修などに利用してもらうよう、同社で営業活動を行っている。県の教育機関にも利用促進を働きかけている。 |
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