フォルクスワーゲン江戸川(3) |
■万全のメカニック用設備で“ES”向上 |
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できたてのサービス工場へ入ると、ショールームより広く感じる。余裕のある7ベイ+検査ラインの規模である(写真16)。床・壁はアイボリー、リフトや天井から吊された機器類はブルーに塗り、落ち着いた清潔感のあるカラーリングである。 そして工場奥には、メカニック用の更衣室(写真17)、手洗い場(写真18)、トイレ(写真19)、さらにシャワー室(写真20)まで完備。 撮影時にたまたま更衣室に入ってきたメカニックは「どうぞ、じっくり見てください。こんなきれいで装備万全のものをつくっていただきました」と扉の開閉や照明の点灯をするなど、その充実ぶりを紹介してもらった。 少々自慢気なスタッフの姿は、「VW世田谷」取材時に同社 林 文子社長がお店づくりでこだわっていた「“ES”の向上が“CS”を向上させる」ことの証明であろう。実は取材中、工場内ですれ違うどのメカニックからも、大きな声で「こんにちは」と挨拶され、久しぶりにすがすがしい経験となった。 ショールームから工場を見ることができる窓を先に紹介したが、工場側から見ると、実は窓はもっと大型のガラスである。その半分以上がアクセサリー・パーツの什器に隠されていた(写真21)。あの什器がなければ、待合いコーナーのどこからでも工場の作業風景が見られたわけだ。せっかくの工夫だが、オープン間もないというタイミングでは、仕方のないことだろう。 |
写真16:できたてのサービス工場は広くて、 ピカピカ 写真17:メカニック用更衣室 |
写真18:メカニック用手洗い場 写真19:暖房・洗浄機能付き便器もある メカニック用トイレ 写真20:全身の油汚れもアフター5にはきれいに 写真21:アクセサリー・パーツの什器で 隠された窓。残念・・・ |
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■トータルデザインを考慮した“キッズコーナー” | |
新大橋通り側、入口から見て一番奥にあるのが、キッズコーナー。ここもまた、“ニュービートル”の大型玩具が設置されているが、滑り台付きで、「VW世田谷」より二周りほど大きい(写真22)。 国産車ディーラーでよく見かけるのは、立派でおしゃれなショールームに対して、キッズコーナーだけは店づくりのデザインテーマとかけ離れたスペースになっていることが多い。しかし同店や「VW世田谷」では、ショールーム全体のデザインと同調した、雰囲気を壊さない色遣いで、しかもドイツの森をモチーフに感じられる木製大型玩具で統一されている。 たかが玩具というか、多くの国産ディーラーは、子供を楽しませようという気持ちではない。まあ、各家庭にもあるTVRやTVゲームを置いておけば退屈しないだろうと・・・。 しかし、VWは、全くエレクトロニクスがない。すべて木製で、しかも単純な積み木・パズル、滑り台だけである。錯角するなかれ、取材時には、たくさんの子供が大喜びでこの滑り台を滑って、積み木の芸術家を気取っていたのである(写真23)。 キッズコーナーの奥、ドアを開けると中古車コーナー(写真24)。15台ほどの中古車が並べてあるセミオープンの展示場だ。新車ショールームのような、デザインの造り込みはなく、少々詰め込みすぎの感もある。それでも、お客様は場所よりも興味があるらしく、この時は、5組ほどが熱心にチェックしていた。 |
写真22:「VW世田谷」より大きいキッズコーナーのニュービートル型玩具 写真23:滑り台は、子供に大人気 写真24:セミオープンの中古車コーナー |
■“快適空間+サービスの充実”で差別化を図る |
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「VW江戸川」は、「VW世田谷」より規模が大きくなることで、バリアフリーへの配慮、新機能(中古車コーナー、ダイアログ・レセプション)、キッズコーナーの充実などを、ドイツのVW専売店のデザインコンセプトに従い完成させた。さらにサービス工場の機能はもちろん、スタッフ用設備を充実させ、“ES”の向上を図っていた。(「VW世田谷」の取材時には、工場はまだオープンしていなかった。きっとオープンした現在は「VW江戸川」同様にすばらしい環境となっているのだろう。) オープニングイベントの様子を内原支店長に伺うと「10月20日、21日の2日間、VWユーザーおよび購買見込み客6,000組を対象に行いました。結果、400組の来場者が訪れ、受注も18台に達しました。これは、VW東京の新記録です。そして、翌週10月27日、28日には、テリトリーの一般客を対象に20万部のチラシをまき、178組のお客様がご来店されました。これも過去最高の記録です。しかし、多数のお客様のご来店に、スタッフの手が回らず、お待ちいただく時間が長くなったり、十分なお話ができなかったり、ご迷惑をおかけしたと思います」と盛況におごることなく、反省を忘れない。 これは「お客様にご来店いただくということは、そのお客様の家族、親族、交友関係の人にまでご来店いただいた時の印象・評判が伝わります。当店のスタッフ全員がそのことを常に念頭に置き、ご来店客の応対を行っています」という強固なマネジメントフィロソフィーがあってこそのコメントである。人間は社会的な存在なのだから、お客様が持つネットワークまで考える。当たり前のことだが、再認識させられた。 さらに、今後のイベントについては「こんなに充実したサービス工場があるので、サービス(修理・整備)を中心としたもの、例えば“ウインターメンテナンス”などを実施したいですね。つまりラジエーター不凍液、スノータイヤ履き替え、オイル交換、バッテリーチェックなど、季節に合わせたカーライフメンテナンスのイベントで、集客を図ろうと考えています。」とのプランを紹介する。 自動車販売業に携わる者、これは内原支店長もまたそうだが、今後のカーディーラー経営は“サービス(修理・整備)の充実”とする意識にある。 理想は、サービススタッフがメンテナンスのコンサルティングまで対応することだ。これについて、現実に同店では、サービス入庫誘致、来店応対、整備事前説明、整備作業、整備作業後説明、精算までサービススタッフ内で一貫して行っている(整備作業だけはメカニック、その他はサービスフロントが担当)。 そこからも「VWのサービスのプロが全部やって、説明もしてくれる」と客は信頼感を持つようになる。これが、専売店ディーラーの強みである。 ここまで、あまりにほめるコメントばかりで、このレポートはパブリシティか?と疑念をもたれるかもしれない。しかし、それは全くない。率直に言って仕事柄、多くの自動車ディーラーの取材経験を通じての感慨なのである。 “快適な空間+サービスの充実”を本当にインフラにできるお店こそ、市場のユーザーの支持を得られるのである。その意味で、VWJの積極的な取り組みは、必ず実りをもたらすと確信するのである。 (編集部:Mt.1) |
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