5.鉄道模型コーナー 順路を進むと、次は鉄道模型コーナーだ。ゾーニングとしてはちょうど施設の中間点に当たるため、休憩コーナーとしてテーブルが用意されている。 壁面には、横浜市電の活躍した思い出の光景及び日本と世界で現在も活躍する路面電車の状況を紹介した写真パネルを飾っている。なお、世界の路面電車紹介パネルは、市内に工場を持つ鉄道車両製造大手の東急車輌製造(株)の提供と記されていた。 |
写真8 鉄道模型コーナーの 休憩テーブル |
そこから、鉄道模型の大パノラマを囲むように、鉄道模型コーナーがレイアウトされている。ガラスウインドウで守れたこれらの模型は、蒸気機関車から国鉄、私鉄そしてJRを代表する名車のコレクションで、個人(故吉村栄氏、故木村周郎氏)からの寄贈と紹介されている。 コーナーの中央に置かれたパノラマでは、横浜市電はもちろん、市営地下鉄、新幹線まで横浜とゆかりのある模型列車が、最長349mの規模で、1日4回いっせいに走り出す。これは壮観である。佐久間レールパークのパノラマでもその大きさに感激したが、その比ではない。場所があれば、自分もパノラマづくりにチャレンジしてみたくなる。 |
写真9 個人寄贈の鉄道模型 |
このパノラマに置かれている車両のなかで、横浜市電と新幹線(有料:100円)は専用の運転台を使っていつでも運転できる。特に横浜市電は、運転台にホンモノの電車の間接制御器を使う(操作はだいぶ違うが)ほどの徹底ぶりである。実際に操作すると、もうちょっと気の利いたコントロールができればと思うが、雰囲気を味わうにはこれで十分だろう。 |
写真10 大パノラマ |
大パノラマに併設して、ミニ鉄道コーナーがある。これは線路長55mの規模のミニパノラマだが、横浜市内のみなとみらい21や湾岸風景などを丁寧に再現している。 模型は「のぞみ」や「サンライズ・エクスプレス」のような人気車両から、湘南型通勤電車までが揃っている。動かすにはこれも1回100円が必要だが、ボタンのオンオフで簡単にゴー・ストップを制御できる。 訪問当日は、幼児を連れた若い母親のグループに囲まれており、子供達がうれしそうに、そして一生懸命操作する微笑ましい光景を見ることができた。なお、ここでは自分の模型の「持ち込み」運転にも対応してくれるという。 なお、運営事業者の財団法人横浜市交通局協力会によれば、昭和59年度に小中学生を対象とした鉄道模型工作教室を開催。以後毎年夏休み期間の、同館恒例の定期イベントとして好評を博している。鉄道模型作りを通して、小中学生の健全な育成の寄与と、同館のPRを兼ねており、子供たちに人気の高いNゲージの鉄道模型キットを使用、例年多数の参加で賑わっているそうだ。 |
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写真11 子供達に人気の「ミニ鉄道コーナー」 |
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6.地下鉄コーナー 順路の最終スペースが地下鉄コーナーで、本物の自動改札機がアイキャッチシンボルとなっている。展示は壁面のパネルが中心で、市電廃止以降の地下鉄の延伸状況や21世紀のネットワーク構想を示した「横浜21世紀プラン路線図」、“どこから車両が入るのか”といった地下鉄基本知識集等を並べている。 |
写真12 地下鉄コーナーの入口には 自動改札機 |
さらにその奥が人気の「シミュレーターコーナー」だ。地下鉄2000型車両の先頭車運転台部分を実寸で再現したモックアップに入って、実際の運転台に座り、40インチモニターに写された前面映像を見ながらマスコンとブレーキを操作し、電車を運転する。もちろん、地下鉄固有のゴーという通過音の演出もある。そのコントロールは、ゲームと違いブレーキの効きを7段階に制御できるなど本格的なものだ。 運転操作は係員が後ろからアドバイスしてくれるため、慣れればそれなりにちゃんと駅に停車できそうだ。料金は1回100円で、1日6回利用のチャンスがある。 なお、同コーナーにある鉄道図書資料棚(施錠されていた)には、「鉄道ピクトリアル」「鉄道ファン」「鉄道ジャーナル」の代表的専門誌が1950年代、おそらく創刊時からのバックナンバーがほとんど収蔵されているように見えた。これは貴重な資料である。施錠箇所を増やすか、逆に開示せず、登録者のみへの閲覧とする等、セキュリティの強化を望みたい。 |
写真13 シミュレーターに 没頭する筆者 |
写真14 鉄道図書資料棚 |
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7.お土産 一通り見学して、帰りにエントランスにある売店で、オリジナルグッズを探した。 用意されているのは、 (1)当時の路線図を復元したファイル(350円)=下図1 (2)市電車両をデザインしたYカード(プリペイドカード2種) (3)市電車両や横浜市の名所等がデザインされたしおり(19種類、1枚90円)=下図2 |
写真15 売店 |
1 おみやげに購入した 路線図シート |
2 おみやげに購入したしおりの一部 |
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で、(1)と(3)を入手した。 (1)は全盛時の市電路線ネットワークが表に、裏には路線別の廃止状況が記載されている。廃止された手順を今更教えてくれなくてもいいと思うのはファンだけだろうか。むしろ路線図に当時のダイヤや車両の写真を入れてもらった方がよほど資料性が高い。そして裏面には、ここに保存されている車両のエピソードを集めてもらい、少々値段は高くなっても、公式ガイドブックの代替としてもらいたかった。 (3)の「しおり」だが、種類が多くても市電保存館来訪記念として何の色気もない。しおり自体、観光地のペナントと同様、アピール性に欠けているのではないか。 ここでは保存車両をモチーフとした、パソコンサプライツール等へのモデルチェンジをお願いしたい。 |
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