10.自然を楽しむ施設を整備予定

 同施設を吉本所長は「とにかくここにあるのは、坑道と自然。これを最大限活用し、お土産やレストランの食材もできる限り地元産を利用するなど、地元と一緒に村の活性化を図りたい」と考えている。
 実際レストランの食材のほとんどが地元で採れるものを使用しているという。また
 「自然ということでは、ここは湯布院(大分県の別府と並ぶ温泉観光地)に負けないぐらい雲海がきれいな場所です。雲海の季節に数回、雲海見学ツアーと称して、参加希望者に朝5時にここへ集まってもらい、一番景色のいい場所へ山歩きをして見に行きます。これは好評で、毎年やってくれとリクエストがあるくらいです」
 と自然を楽しむイベントは好評を博している。
 
 このように鯛生金山では、“体験”ということをキーワードに「坑道探検」「砂金採り」「わさび・こんにゃく加工」「草木染」「焼き物」を常時、「自然満喫」をスポットとして開催している。さらに「当施設の所有地が約20ヘクタールあるので、大きな木を間伐して、遊歩道だけ整備して『風の音を聞こう』というコンセプトで、山を歩いてもらおうと考えています。また空き地には記念樹として、お客様に好きな苗木を植えてもらうような公園施設に整備したいと考えています」と今後の自然体験施設構想を語る。しかし
 「この辺りは九州といっても山地のため冬は非常に冷え込み、客足は遠のきます。従って冬の閑散期対策が課題」だという。そこで、「お客様が少ないことを逆手にとって、芸術家のタマゴに家族旅行村のケビン(約100名分の宿泊施設)を無料開放して作品を作ってもらい、その作品の露天市をやってもらえないか、現在交渉中です」
 と空いている宿泊施設の積極的な活用による閑散期打開策を語る。

 これまで、マインパークに限らず取材した施設では、閑散期はあきらめて、極端な例では休業するところもあった。しかし同施設では、なんとか年間を通じて集客しようと必死で、様々なアイデアを実施しようとしているのである。
 取材終了後、吉本所長から編集長へ1通の電子メールが送られてきた。そこには、“中津江村を愛して、これからもこの村をすばらしいコミュニティにしたい”という強いメッセージが書かれていた。そう、施設運営には氏のような強いリーダーが必要なのだ。やらされ感ばかりで行う積極性のない運営者は、ぜひとも業務改革を急いで欲しい。自らの“やる気”が集客強化のスタートなのだから。

 地域住民も一体となった村おこしは、遺構の観光活用をきっかけに、現在のスポーツ&リゾートのインフラを整備し、今後の自然を楽しむ整備計画を含め、資源を活用した低コストの積極的な集客策により、新しい観光地として花開くのか。今後も注目していきたい施設である。



 前ページへ    マインパーク取材一覧へ

ライン


トップ