自動車販売店舗の再編・活性を刺激する
ホームセンターの新たなチャレンジ
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アヤハディオの「ディオワールド草津店」が
買取保証システム「Fシステム」に加盟、新車販売に参入

安部基史(本誌編集長)


■新車販売に参入した「ディオワールド草津店」

 自動車販売業と大型商業小売業態のホームセンターが一体化した最新事例が、滋賀県の地場大手ホームセンター・ディオワールド草津店((株)アヤハディオが運営)である。


Fシステム・ディオワールド草津店


 同店は開店以来、タイヤ・オイル等の消耗品を中心に部用品を販売、専用のサービス工場を併設して取付け交換作業までサポートしていた。

 2010年9月、ビジネスの拡大のために、買い取り保証を訴求するエフシステム(株)の加盟店に参加、新車販売をスタートさせ、保有顧客ゼロの状態から1年間で約100台の販売に成功したという。

 そこには、大量集客の上に価格訴求と大量MDが可能なホームセンターで、しかも取りつけ交換サービスに対応、お客様に一定の評価を受けていても、アフターマーケットビジネスだけでは売上拡大に限界があること、新車販売をきっかけとする顧客データベースマーケティング(CRMと位置づけてもあながち間違いはない)を展開できなければ、消耗戦に終わりかねないという事業者の強い危機意識が存在していたのである。

■部用品の取付・交換は、店内サービス工場で対応

 綾羽(株)(本社:滋賀県大津市におの浜)は、ショッピングセンターやホテル、ゴルフ場、自動車教習所、不動産等を傘下に持つ「アヤハグループ」を形成する地場有力企業である。グループのなかで、ホームセンターを運営するのが(株)アヤハディオで、品揃えのバリエーションや規模によって「アヤハディオ」(22店)、「ディオハウス」(1店)、「ディオワールド」(2店)を滋賀県および近隣地域で展開している。

 今回、自動車販売に乗り出した草津店は、「ディオワールド」である。特徴である“圧倒的品揃えと独自のサービスメニュー”を具現して、開店当時から人気を博していたのが「ペットセンター」(生体販売からトリミング、ペットホテル、しつけ教室、用品の販売)と、部用品の販売に加えてオイル・タイヤ交換等のピット作業にも対応した「オートセンター」であった。

 前述のように、ホームセンターでのカー用品販売は普通の風景だが、25ストールに及ぶ、ディーラーでも例を見ない大規模サービス工場を用意、販売した商品の取付作業まで面倒を見るのは珍しい。おまけにピットでの作業の様子を売り場とのガラス越しで確認できる、コミュニケーション・ストール機能も導入している。さらに、低価格訴求のホームセンター業態を逸脱しないように、オイル交換工賃は無料、タイヤ交換については装着後3年間、タイヤローテーション無料および保険の自動加入等のメニューを用意している。

 ピットの作業で最もニーズを集めているのがタイヤ交換で、開店の翌年にはスタッドレスタイヤだけで10,000本を販売した。降雪の多い土地柄もあって、在庫が追いつかないといった事態が今でも起きるという。豊富な品揃えと低価格、ピット作業に対応するこの「オートセンター」は、すぐにお客様の支持を集めて、ディオワールド草津店全体売上の3割近くを占める稼ぎ頭となった。

 しかし、前述のホームセンター業界の市場規模推移が示すように、2000年代以降は長期不況や、大手カー用品チェーン店の相次ぐ進出、さらには新車販売店のCR強化等の影響から、2010年を迎える頃はホームセンター業界への逆風もあり、低迷が続いてしまったのである。

ディオワールド草津店・オートセンター(出典:エフシステムHP)


軽自動車を集めた展示スペース

新車販売以外でも車検入庫に注力。3名のスタッフで常駐対応


展示車は豊富な部用品を用いて、メインターゲット層の女性にカスタマイズして訴求。ホームセンターの強みでもある。

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