6.小説の舞台にもなった金山

 同金山のリアルな再現が終わり、石段を下ると、「西海道談綺」パネル展示コーナー(写真14)。実は鯛生金山は、松本清張の長編小説「西海道談綺」の舞台として取り上げられ、テレビ映画化されて、昭和58年に全国放映された。ロケーションは、ここを中心に大分県各地で行われた。その映画の名場面とイラストをパネル展示しているのである。

 マグシーバーから映画のワンシーンが再現され、雰囲気を盛り上げる。しかし筆者はもちろん、ほとんどの人は、作品自体の存在も知らないため、急に芝居のセリフを聞いても違和感を持つであろう。このコーナーは50メートルほど続き、坑道内では一大ゾーンとなっている。
 ロケ当時や放送直後は大分県、九州内でも話題となり、ここのオープン前にも関わらず、実際に坑道を使ってロケがされたということから、集客の仕掛けの一環としてこのようにコーナー化されたのは理解できる。しかし、それから18年も経過し、放送以降話題になっていない(と思う)TV映画の名場面を、現在もそのままパネル展示されても、その事実を知らない客は筆者と同じように「ふーん。こんな映画もあったのね」で終わってしまうのが現実だと思う。
 そしてこのコーナーの最後に、クライマックスシーンをマネキンで再現している(写真15)。その要約をマグシーバーから解説していたが、残念ながら、意味がよくわからなかった。映画のような動画を音と静止画で再現するには、それなりのテクニックが必要である。

 その先の直進する坑道は閉鎖され、順路は右に曲がる。「この閉鎖されているところは“レインボータイムトンネル”といってレーザー光線のショーをやっていたコーナーです。しかし機械が故障して現在休止しています。実は坑道内は湿気が多く、機械がすぐに故障するため、コストがかさみ、再開する目途は立っていません」という。たぶん減価償却は終わっていると思うので、これを機会に金山に因んだ活用もしくは、地底空間再利用としての活用を期待する。




写真14:
「西海道談綺」は一大ゾーン




写真15:あらすじもわからないまま
クライマックスの再現人形登場




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