8.一億円の黄金鯛を展示


 最後に登場したのが「黄金の洞窟」。所々に金箔を貼った洞窟に純金製の鯛が2匹展示してあり(写真17)、横の説明書き(このパネルも金色)には「2匹で50kg、一億円」と書いてある。もちろん、鯛生金山の「鯛」に因んだものである。
 この黄金の鯛は1991年平成4年村単独事業(金山の事業費)により作られた。

 そしてその横にはなぜか水戸黄門らしき動くマネキンが、黄金鯛の由来を解説している(写真18)。著作権等から、明確に「水戸黄門」とは表記していないが、これは誰が見ても「水戸黄門」である。

 ちなみに、「鯛生」という地名の由来だが、
---建武・延元年間(1334〜1339年)、この地方の豪族であった田島舎人は、肥後の菊池家と縁組みをした。嫁御寮の輿は、山を越えて田島の居城に着いた。菊池家では、婿になる田島舎人に何か珍しいものを贈ろうと、活きた雌雄二尾の鯛をめでたかれよと引き出物にした。ところが、この地に着くとその鯛は躍り上がって、ふたつの岩石の上にしっかりと付着してしまった。大小の男鯛と女鯛は互いに向き合い、『鯛生石』と呼ばれるようになった---という伝説をベースとする。

 現在、男鯛の上には大きな木が茂ってその姿を見ることはできないが、女鯛は地名の由来を物語るように残っているという(鯛生金山ガイドブック「鯛生金山物語」より)



写真17:
一億円の黄金鯛


写真18:なぜ、水戸黄門?


写真19:ブロンズ製の「願かけ鯛」


 黄金鯛の横には「願かけ鯛」と称してブロンズの鯛2匹が設置されている(写真19)。説明書きを読むと、鯛の前にある水槽の中にある金箔をすくって、願かけ鯛に貼ると、縁結び、商売繁盛の願いがかなうという。なかなか凝った演出であるが、“1回50円”という表示と料金箱がしっかり設置してあった。
 この50円という価格設定の根拠はわからないが、“願をかける”という行為から賽銭箱を設置して“料金”ではなく“賽銭”とした方が、御利益がありそうだし、参加率も上がるのではないだろうか。
 そもそもこの「黄金鯛」「願かけ鯛」コーナー自体に賛否両論あるとは思うが、“金山+鯛生=黄金鯛”という誰にも分かりやすい連想と、新名所としての意気込みは感じられる。
 しかし、水戸黄門は意味がわからない。新しい観光名所として一時的な話題づくりではなく、恒久的な名所になるような造り込み、工夫が欲しいところである。
 先を進むと、最初に来た案内図の三叉路へ到着。入坑からゆっくりと歩いて約60分、これで坑道探検も終了となる



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