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夕張・石炭の歴史村(10) |
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5.訪れてのインプレッション (1)アプローチ 東京では早咲きの桜が散り始めた春真っ盛り、新規参入以来、苦戦を強いられている北海道地元企業「エア・ドゥ」の売上に貢献し、千歳空港へひとっ飛び。空港でレンタカーを借りて、一路夕張へ向かう。「千歳」ICから「道央自動車道」を北上し、「千歳恵庭」JCTで「道東自動車道」へ入ると、全くクルマが走っていない。いくら平日の午前中といってもこんなに空いていては、道路関係4公団民営化推進委員会での「無駄な高速道路の見直し」論議が現実になるのも無理はないだろう。実際、話を伺った夕張市役所でも「札幌までは、迂回する高速を使うより一般道の方が直線で早いため、地元住民は高速道路を滅多に使わない」と言い切っていた。 40〜50分で「夕張」ICを下りて、国道274号をすぐに国道452号へ左折し、「夕張川」に沿って北上する。約10分走るとJR石勝(せきしょう)線夕張支線「清水沢」駅手前の交差点を「道々夕張・岩見沢線」へ直進すると間もなく、JR「夕張」駅と表示された「Mt.レースイリゾートホテル」の近代的な建物が現れる。 |
夕張駅直結のMt.レースイリゾートと夕張駅(公式案内より) |
○開発に伴い三度移動させられた「夕張駅」 札幌から釧路方面への幹線であるJR石勝線の「新夕張」〜「夕張」路線が夕張支線である。元々この支線は北炭が所有する石炭運搬路線の夕張線で、「新夕張」駅は「紅葉山」駅と名乗っていた。しかし、明治39年(1906)に国有化され、昭和56年(1981)にはJR石勝線に編入されてから改称している。以降、「夕張」駅は3回移設されている。初代は石炭運搬が目的のため、現在の歴史村の東山側にあった。しかし炭鉱の閉山に伴い、昭和60年(1985)に街の中心部である本町に移設。さらに、観光の基幹産業化を図るため、冷水山のスキー場のふもとにホテル直結の駅として移設・リニューアルされた。 しかし、この2代目から3代目への約800mの移設は、地域住民から「不便になった」と不満の声が多いという。確かに、坂が多い夕張の800mは徒歩ではきついし、新たな住民の足としてバスが運行されているのだが、乗り換えが面倒なため、結局はクルマでの移動が主流になって、公共交通は消える運命を享受している。詳細な理由は不明だが、歴史村オープン時にはあえて初代夕張駅を終着駅として、本町の2代目の駅も途中駅として残せなかったのだろうか。鉄路の活かし方によっては観光活性につながるのだが、「石炭を積み出す古い手段」しか鉄道をイメージできない地元発想では、そういうアプローチは諦めざるをえないのが現実ということだ。 |
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○映画の看板が目立つ本町商店街の町並み 「夕張」駅を過ぎるとすぐに繁華街らしい町並みが現れて、そこでは昔懐かしい映画の看板がいくつも目に付くようになる。これが“映画の街夕張”の名物の「キネマ商店街」通りである。午後からのアポイントまでは十分に時間があるため、少し早い昼食にすることにして、商店街の中心にある大きな駐車場へ止める。すると「ここが2代目の夕張駅だ」とすかさず編集長が気づく。こんな街の一等地にあるのに、駐車場にしてしまうなどもったいないなどと思いながらも、腹の虫が騒ぐのと、夕張に入ってからミゾレ混じりの小雨が降ってきたので、早足でキネマ通り商店街へ。道の両側に映画の手書き看板がノスタルジックな雰囲気を醸しだしている。 まさにシネマ看板=国際映画祭という図式だが、思っていたよりは少なく、真っ昼間なのに人があまりいない活気の無さから、「祭りの後の寂しさ」的な感じがした。 北海道といったらやはりラーメンということで、ラーメン屋にて、みそラーメンを注文。これは正解で、無言で黙々と食べていると、汗がダラダラと出てくる。そうなのである。北海道は外が寒いので、暖房を異常に効かしてあるのだ。店のスタッフも半袖で働きながら汗を拭うほど・・・。取材班は全員汗まみれで店を出ると、外気が1分ほど気持ちよかったが、外はミゾレから小雪に変わっており、今度は寒い。また早足でクルマに戻って暖房を入れてホッとしたが、体調がおかしくなりそうであった。 |
シネマの看板がノスタルジックな「キネマ商店街」 「幸福の黄色ハンカチ思い出広場」。遠景でも黄色のハンカチが鮮やか |
○映画撮影時よりその数を減らしている炭鉱住宅 アポの時間まで、観光名所の「幸福の黄色いハンカチ思い出広場」へ足を運んでみた。案内看板通りに走ること約5分、そこは小高い丘で、眺めもよい。駐車場から建物までは歩いて5分ぐらいで、観光バスの団体客で賑わっていた。呼び物のハンカチの黄色が非常に鮮やかで、映画で住居として使われた炭住(炭鉱の社員住宅)もまだしっかりとメンテされていた。ただし映画のこのシーンでは周囲にまだ炭住がいくつか残っていたように記憶しているのだが。ちなみに建物の中では、映画で使われた車や資料、人形によるシーン再現をおこなっている。 |
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