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夕張・石炭の歴史村(14) |
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5.訪れてのインプレッション(5) (3)炭鉱生活館 旧夕張工業学校校舎を復元した「炭鉱生活館」 坑道出口のすぐ裏には天然記念物「石炭の大路頭」がある。これは6、8、10尺の3層から成る厚さ7mの瀝青炭の露出地層で、夕張の石炭発見につながった地質学的にも貴重なもの。しかし、雪がまだ残っているため、遠くから見るにとどめた。 なお、坑道の出口は「石炭博物館」から約50mメインエントランス寄りの「炭鉱生活館」の近く。すると「炭鉱生活館」の前にスタッフが立っていて、「こちらです」と手招きしているので、向かうと、ヘルメットの回収で、「炭鉱生活館」の入口にいくつかヘルメットが積まれてあり、「こちらも見てください」と案内される。なるほど、ここで回収ということで呼び寄せて、この施設へ案内するといったうまい誘導策である。 この「炭鉱生活館」は、旧夕張工業学校校舎を85%スケールで復元した、しゃれた洋館である。 ○人形を使った情景展示で昭和の夕張の生活を再現 中へ入ると、目の前に女衆は割烹着を着て井戸端会議。その横を赤いハチマキ(団結、要求などと書いてある)に赤い旗を持った男衆が歩いている・・・といった夕張の昭和の高度成長時代を象徴するようなシーンを、ここでの人形を使った情景展示で再現している。どうやら本書でも取り上げている「北海道開拓の村」の情景展示がお手本になっているらしい? そのまま順路に沿って奥へ進むと、今度は家族全員着物を着て、壁には子供の書き初め、タタミの上では子供がカルタ取りをしている・・・というお正月の暮らしを再現している。昭和の時代では、どこの家庭でも見られた光景である。ここにも音声説明機を設置して、スイッチを入れると解説が始まる。 奥には最盛期の夕張市街を大きなジオラマで再現している。これはライトにより朝、昼、夜を表現し、夜になると模型の住宅の中の電灯も点灯する。さらにジオラマの前面にスイッチがあり、それに対応した建物のライトが点灯して位置がわかるようになっている。過去、夕張に住んでいた人には懐かしいものであろう。 その他、米やタバコ、砂糖など俗に言う“何でも屋”の再現、気性が荒かったヤマ男のケンカシーン、盆踊りのジオラマなど、夕張の炭鉱の生活では欠くことのできない行事やできごとが再現され、見ていて楽しいフロアであった。 2階は、解説、写真パネル中心の展示で、以下の4ゾーンに分かれている ●「夕張の夜明け」/「おおむかしの夕張」「古文書の中の夕張」「夕張と砂金」などのテーマでパネル解説し、夕張の歴史を古代から紹介。 ●「働くなかま」/夕張炭鉱の労働組合の歴史を紹介 ●「やまのくらし」/炭鉱夫が住む炭住長屋を再現し、その当時使っていた祭道具、生活用品、電化製品などを展示、「やまの教育」と題したパネル解説 ●「郷土ゆうばり」/「夕張の農業」「夕張の林業」「夕張の商業」「市制の移り変わり」のパネル解説と農機具の展示、「夕張の自然」と題して夕張の動植物をパネル紹介。 狭い空間(1階の約半分)に蛇行させた狭い(約1m)通路で、1ゾーンが平均5mほどの展示。これでは息が詰まりそうであった。 |
しゃれた洋館風の外観「炭鉱生活館」
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○石炭関連施設に挟まれた場所に疑問 「炭鉱生活館」を出ると、隣が平成12年(2000)4月にゲームセンターを改装してオープンした「ゆうばり化石のいろいろ展示館」である。しかし、当初は「石炭博物館」と「炭鉱生活館」に挟まれたアカデミックなゾーンにゲームセンターを設置したのか全く理解できない。リニューアルは正解であろう。では中へ・・・と思ったのだが、もう閉園間近ということから、断念した。 パンフレットによると、動く「クビナガリュウ」が出迎え、夕張産出のアンモナイト、クビナガリュウ、植物などの化石を約250点展示しているという。 最近(2002年7月現在)日本テレビの人気番組『ザ!鉄腕!DASH!!』の「恐竜発掘project」コーナーで「クビナガリュウ」の化石が次々と発見され、話題になっている。これが化石、恐竜ブームの火付け役となれば、「動く“あの”『クビナガリュウ』を展示」とPRできるのだが・・・。 |
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